夜、一人ガレージの前に立っていたのはレオポンさんチームのリーダー、ナカジマであった。
それを見たのは生徒会長の角谷杏であった。
「やあやあナカジマちゃーん」
「あ、会長じゃないですか~。どうしたんですかこんな遅くに」
「ちょっと野暮用でねえ。そっちこそ何してんのさ。戦車の整備?」
「実は久しぶりに車の方いじろうかと思いまして。最近戦車ばかり触ってたもんで」
「あ~、そっかそっか~。なるほどねえ~。ところで他のメンバーはどしたの?」
「今飯買いにココイチ行ってますよ。店に着いたら連絡するように言ってるんですけど、もし良かったら会長の分も買うように言いますよ?」
「あ~、私はいいよ。ありがとね」
少しの間の後、杏は真剣な表情で言った
「いや~自動車部には苦労かけさせたね、ほんとに」
「どうしたんです?急に」
「ずっとさ、戦車の整備や修理してもらってたしさあ、最終的には戦車に乗って試合にも出てもらったしさ」
「何言ってるんですか。自分が一番苦労してた癖に」
そうナカジマがほほ笑むと会長も釣られて笑ったようであった
「私は良いんだよ~。自分がやりたくてやってたんだからさ」
「それを言ったら私たちだって楽しくやらせてもらいましたよ」
「ほんとに?」
「ほんとですよ~。元々機械触るの好きですからね私たち」
「いや~、それならいいんだけどさ」
杏がガレージの中を少し覗くとポルシェティーガーが見えた
レオポンさんチームの車両だ
「どうだった?戦車・・・ポルシェティーガー乗ってみてさ」
「楽しかったですよ。クセのあるヤツでしたけど、それが逆に私たちにとっては楽しいというか、見た目も大きくて強そうだし。車もそうですけどやっぱりカッコいいと気持ちも高ぶりますよ。車走らせるのとは別のわくわくがありましたよ。まあほんとは皆操縦手やりたかったんですけどね」
そうほほ笑んだのもつかの間、すぐ何かを思い出したかのように口を開く
「あと名前が「ポルシェ」ですからね!これは大きいですよ!テンション上がっちゃいますよ!車のポルシェと関係あるのかは知りませんけど!」
「お、おお~・・・」
少しのけぞる杏を見てしまったと思ったのか、ナカジマは一度言葉を止め咳払いをした
「その、戦車を通して色々な人と関わる事ができたじゃないですか。私たちってずっと4人で車さわってて、それでもすごい楽しかったんですけど、内輪というか、大きい集団で何かを成し遂げるみたいな事は無かったから。だから全国大会も、大学選抜チームとの試合もたくさんの人達と一つの目標に向かって全力で取り組めたから。それは何と言うか、青春の1ページに参加できたみたいで、凄い良かったです」
「・・・・・」
「私、皆と戦車に乗れて良かったです」
「あ、店着いたみたいですね」
「ねえ、ナカジマちゃん。私の分もテキトーに何か買ってもらえないかな」
「・・・分かりました!」